- コンサルタントとして独立を考えているものの、報酬の決め方がわからない。
この記事は上記のようなお悩みを抱えておられる方に向けて、コンサルタントの報酬体系を踏まえつつ、報酬の決め方やクライアントへ伝える際のポイントを解説します。
最後に報酬アップのポイントもご紹介していますので、ぜひ最後までご確認ください。
個人コンサルタントの報酬体系
まずは個人コンサルタントの報酬体系について、主な種類をご紹介します。
稼働時間単価型
稼働時間単価型は「稼働時間当たり○○円」といった形で時間単価を設定し、時間単価と実際の稼働時間を掛け合わせたものが報酬となります。
例えば時間単価が5,000円、月の稼働時間が80時間の場合、400,000円が月額報酬となるわけです。
実業務まで併走しながらサポートする場合、毎月業務の内容や関わる時間などが変動する可能性があるため、稼働時間単価型を採用するケースが多いでしょう。
月額固定報酬型
月額固定報酬型は「月当たり○○円」といったように、固定報酬額を設定します。
顧問やアドバイザーのような形で関わる場合、月々の業務内容に大きな変動がないため、月額固定報酬型を採用するケースが多くなります。
併走しながらサポートするコンサルタントであっても、毎月の業務内容にほとんど変化がない場合は、月額固定報酬でも問題ありません。
プロジェクト型
プロジェクト型はプロジェクト1件につき○○円という形で報酬が設定されます。
あらかじめ参画する期間が決まっているケースや、規模の大きな案件で採用されるケースが多くなるでしょう。
プロジェクト完了後にまとめて報酬が支払われる場合もあれば、プロジェクト報酬を月ごとに分割して支払われることもあります。
個人コンサルタントの報酬の決め方
ここからは個人コンサルタントの報酬の決め方について確認していきましょう。
期待年収と稼働予定時間から時間単価を割り出す
例えば自分自身が期待する年収を800万円と設定したとします。
加えて月当たりの稼動予定時間を160時間とした場合、以下のように時間単価を算出できます。
800万円 ÷(160時間×12ヵ月)=4,167円(時間単価)
稼働時間をあまりにも長く設定したり短くし過ぎたりすると、実際に事業を開始した際に乖離しやすくなるため、現実的な時間を設定するようにしましょう。
市場相場を踏まえて時間単価を調整する
個人コンサルタントと一口で言っても、業界やテーマなどによって相場が異なります。
これらの相場と報酬額が大幅に乖離している場合、顧客から違和感を抱かれてしまい、契約してもらうことができません。
そのため、あらかじめ市場相場を確認しておき、必要に応じて時間単価を調整しておきましょう。
主な業界の相場については、後ほどご紹介します。
契約の報酬体系に応じて報酬を決定する
稼働時間単価型の場合は、設定した時間単価をそのまま活用できますが、月額固定報酬型やプロジェクト型の場合は、時間単価をそれぞれの形態に合わせる必要があります。
それぞれの稼働時間見込みを算出した上で、その稼働時間に設定した時間単価を掛けて、報酬を決定しましょう。
【補足①】個人コンサルタントの報酬相場
補足として、テーマ別の月額報酬目安をご紹介します。
テーマ | 月額報酬目安 |
---|---|
経営 | 20~100万円 |
IT・業務改善 | 40~60万円 |
戦略 | 30~60万円 |
ファイナンス・財務 | 30~60万円 |
人材・採用 | 10~50万円 |
Web・マーケティング | 30~50万円 |
労務 | 5~10万円 |
ご覧いただいたように、経営コンサルタントが最も高い相場となっており、後は30~60万円程度の相場が多くなります。
【補足②】経営コンサルタントの場合は源泉徴収も踏まえる
コンサルタント報酬の内、経営をテーマとしたものについては、源泉徴収の対象となります。
源泉徴収税額は「報酬額×10.21%」となるため、請求書などを発行する際に計算漏れしないようにしましょう。
また一度の報酬が100万円を超える場合、適用率が20.42%となる点は注意してください。
報酬の妥当性を伝える際の2つのポイント
報酬設定と関連し、顧客に対して報酬の妥当性を伝える際のポイントも押さえておきましょう。
報酬とサービス内容のバランス
報酬が高いにも関わらず、サービス内容のレベルが低かったり、サポートの範囲が狭かったりすれば顧客は違和感を覚え、契約締結に至る可能性は低くなるでしょう。
一方あまりにも安い報酬設定であっても、「サービス品質が低いのではないか」と疑念を抱かれ、敬遠されてしまいます。
そのため、報酬はサービス内容とのバランスを考慮して設定した上で、伝える必要があるのです。
比較対象をこちらから提示する
コンサルタントの比較対象は競合のコンサルタントだけではありません。
実は対象業務に従事する顧客先の従業員も含まれるのです。
そのため課題解決のために新たな人材を雇ったり、人事異動したりする際のコストを提示し、そのコストと比較してもらうことで、報酬の妥当性をアピールできます。
多くの場合、新たな人材を雇用する方がコストが高くなるため、比較対象として利用することで、成約率を高められるのです。
個人コンサルタントの報酬を高める5つのポイント
最後に個人コンサルタントの報酬を高めるポイントをご紹介します。
提供価値を高める
コンサルタントが提供するのは、アイデアや考え方などの知的生産物です。
そのため、この知的生産物の品質や価値を高めることが報酬アップに直結します。
提供する知識やノウハウの専門性を高めたり、より広範な領域をカバーしたりすることで、報酬アップの交渉に繋げやすくなるでしょう。
スキルアップや勉強を継続する
コンサルタントの存在価値において、顧客の知識よりも「深く・広い知識」を提供し続けることは重要な要素となります。
そのため自身の専門性や関連するテーマへの知見を深めるために、常にスキルアップや勉強に取り組む必要があるのです。
スキルアップなどの結果として、顧客満足度の向上や報酬アップといった成果を得ることができるでしょう。
競合と差別化する
競合と似たようなサービスを提供していては報酬も上がりにくく、最悪の場合、より安いサービスへと流れてしまう可能性があるでしょう。
独自の提供価値を見極め、差別化に取り組むことで、市場における希少性を高めることができ、高い報酬を設定しても受け入れられやすくなるのです。
顧客との関係性を構築する
どれだけ提供価値が高くとも、顧客との関係性が良好なものでなければ、単価アップしてもらえる可能性は低いでしょう。
その点、顧客との良好な関係性を構築できれば、単価交渉もしやすくなります。
そのため日頃から丁寧なコミュニケーションを心掛け、顧客へのお役立ちを最優先に活動し、良好な関係を築くことが重要になるのです。
単価交渉は積極的に行う
提供価値が高く、かつ顧客と良好な関係を築けていたとしても、顧客側から報酬アップの打診をされることは滅多にないでしょう。
そのため契約更新や内容変更が生じたタイミングで、自ら積極的に単価交渉を行う必要があるのです。
「なぜ単価が上がるのか」を根拠を持って伝えることができれば、顧客もないがしろにせず、きちんと耳を傾けてくれるでしょう。
まとめ
今回はコンサルタントの報酬の決め方をテーマに、報酬体系や単価アップのポイントも踏まえながら解説してきました。
個人コンサルタントとして事業を継続していくには、適切な単価設定を行うことは勿論、必要に応じて単価アップなどの交渉にも取り組む必要があります。
ぜひこの記事を参考に、単価設定や交渉に取り組んでいただければ幸いです。