- コンテンツマーケティングに取り組みたいと考えているものの、何から始めたらいいかわからない
この記事は上記のようなお悩みを抱えておられる方に向けて、コンテンツマーケティングの概要やメリットなどを踏まえつつ、始め方をわかりやすく解説します。
コンテンツマーケティングにおける企画のコツや、効果を高めるポイントについてもご紹介していますので、ぜひ最後までご確認ください。
コンテンツマーケティングの概要
まずはコンテンツマーケティングの概要やメリット、求められている理由などについてご紹介します。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、顧客に対して有益な情報を様々なコンテンツを通じて提供することで、関係性を構築し、購買や契約といった成果に繋げるマーケティング手法です。
ビジネスブログによる記事提供やメルマガ、SNSによる投稿など、様々な形態のコンテンツが利用されています。
日本では2014年頃から注目され始め、今では数多くの企業や事業者がコンテンツマーケティングに取り組み、見込み顧客の獲得や既存顧客のリピート促進といった成果を挙げているのです。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングによって提供する各コンテンツは資産となります。
資産となったコンテンツは、広告のように追加費用を投入しなくても、自動的かつ継続的な集客効果を発揮するのです。
またビジネスブログやSNS投稿など、比較的低コストで始められるコンテンツも豊富にあるため、費用対効果にも優れている手法と言えます。
コンテンツマーケティングのデメリット
ただしコンテンツマーケティングは、Web広告と比較して即効性に乏しいという難点があります。
コンテンツが認知を獲得して、集客や顧客育成効果を発揮するまで、数か月程度かかるケースが多くなるのです。
またコンテンツの企画や制作、運用にあたって、相応の工数がかかる点は留意しておかなければなりません。
コンテンツマーケティングが求められる理由
インターネットが発達する前は、製品・サービスに関する情報獲得の方法は、企業からの広告や営業担当者との商談などに限られていました。
一方現代はインターネットやSNSなどが発達したことにより、顧客は能動的に様々な情報を収集するようになったのです。
こういった顧客行動の変化によって、広告や営業によるプッシュ型アプローチよりも、顧客の情報ニーズに的確に応えるプル型アプローチの方が効果的になりました。
コンテンツマーケティングがプル型アプローチに最適な手法であることから、多くの企業や事業者がマーケティングの主軸として採用していると言えます。
コンテンツマーケティングの主なコンテンツ
続いてコンテンツマーケティングで活用される主なコンテンツをご紹介します。
ビジネスブログ
ビジネスブログは、顧客にとって役立つ情報やノウハウなどをブログ記事として提供するコンテンツです。
比較的低予算で始められる上、SEO(検索エンジン最適化)との相性も良いため、コンテンツマーケティングにおけるメインコンテンツとして活用されることが多くなります。
良質なブログ記事を提供できれば、検索エンジンからの安定的な顧客流入を図りつつ、見込み顧客の購買意欲を高められるでしょう。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、製品・サービスに関するノウハウや業界の調査レポートなど、顧客に役立つ情報をまとめた資料のことです。
ブログ記事よりも専門的かつ高度な内容を扱い、情報量も多くなるため、購買検討中の見込み顧客に対して高い訴求力を発揮します。
ダウンロードコンテンツとして提供することで、見込み顧客の獲得に繋げることも可能です。
メルマガ
メルマガは、顧客にとって役立つ情報や製品・サービスに関するお知らせなどを、メール形式で定期的に配信する手法です。
顧客との定期的な接点を持つことができ、集客だけでなく顧客育成効果も発揮しやすいコンテンツと言えます。
ビジネスブログと同様、比較的始めやすい手法と言え、コンテンツマーケティングにおける代表的なコンテンツの一つとして挙げられるでしょう。
SNS投稿
FacebookやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどを活用して、顧客に役立つ情報を提供します。
メルマガにはない双方向的なコミュニケーションが可能であり、情報発信だけでなく、SNSユーザーからコメントをもらったり、そのコメントに対してリアクションしたりすることも可能です。
また拡散能力にも優れているため、ビジネスブログやホワイトペーパーなどの拡散経路としても活用できるという強みがあります。
動画・音声コンテンツ
YouTubeを始めとする動画配信プラットフォームや、ポッドキャストなどの音声配信ツールを利用し、顧客に役立つ情報を配信します。
動画や音声は、ビジネスブログなどのテキストコンテンツにはない視聴覚的な訴求が可能であるため、顧客の理解を促進しやすいと言えるでしょう。
また音声コンテンツは、家事や通勤中に「ながら」利用してもらえる点も見逃せません。
事例コンテンツ
事例コンテンツは、購買検討中の見込み顧客に向けて、既存顧客が導入前に抱えていた課題や導入した経緯、導入によって得られた成果などを紹介します。
顧客の生の声やインタビューなどの情報を盛り込むことで、見込み顧客の不安を払しょくできるため、実顧客化するにあたって重要な役割を担うでしょう。
イベント
顧客課題にフォーカスし、その課題解決をテーマとしたセミナーなどのイベントを開催することで、ニーズが顕在化している確度の高い見込み顧客を獲得できます。
これらのイベントの様子を記録・録画しておくことで、ブログ記事や動画コンテンツとしても加工できるなど、汎用性の高いコンテンツと言えるでしょう。
インフォグラフィックス
インフォグラフィックスとは、イラストやグラフといった視覚的な素材を豊富に活用し、情報をわかりやすくまとめたコンテンツのことを指します。
視覚的な要素が多いため、純粋なテキストコンテンツよりも、直感的に理解してもらいやすいという強みがあります。
インフォグラフィックスはデザイン性が高く、一種のアートとして認識されるため、クオリティの高いものを提供できれば、SNSなどで拡散される可能性も高くなるでしょう。
プレスリリース
プレスリリースとは、報道機関やメディアに対して提供する公的な情報のことで、新製品・サービスのリリース情報や市場調査レポートといった様々な情報を扱います。
報道機関がプレスリリースに興味を持てば、保有しているメディアで、プレスリリースの情報が公開されることになるのです。
第三者を介するという特性上、自社で発信する情報よりも信頼されやすいという強みがあります。
書籍
製品・サービスと関連した内容を扱った書籍を執筆して発刊することで、Web上ではリーチできない顧客層にもアプローチできます。
顧客から「書籍を発刊できるほどの専門性を持っている」と認識されるため、信頼も獲得しやすいと言えるでしょう。
ゼロから執筆することは難易度が高くなりますが、ビジネスブログやホワイトペーパーの内容をまとめて、付加価値を付ける形で発刊するといった方法を取れば、比較的取り組みやすくなります。
個人事業主におすすめのコンテンツ
ここまでコンテンツマーケティングにおける代表的なコンテンツをご紹介してきましたが、個人事業主の場合、これら全てを活用することはリソースの観点で現実的ではありません。
そのため、この中から自身に適したコンテンツをいくつか選び、取り組むことになるでしょう。
- ビジネスブログ
- メルマガ
- SNS投稿
- 事例コンテンツ
上記はコンテンツの制作や手配にそこまで大きな費用や工数がかからず、効果も非常に高いものとなっています。そのため個人事業主でも取り組みやすいのです。
上記のコンテンツを主軸としながら、自身の得手不得手や製品・サービスとの相性を踏まえ、他のコンテンツの取り組みも検討すると良いでしょう。
コンテンツマーケティングの始め方
ここからはコンテンツマーケティングの始め方について、9つのステップに分けてご紹介します。
それでは一つずつ確認していきます。
運用環境の構築
ブログ記事などを提供するためのオウンドメディアを構築することは勿論、効果測定のためのアクセス解析ツールを導入するなど、コンテンツマーケティングに取り組むための準備を行います。
他にも動画コンテンツに取り組むつもりなのであれば、YouTubeのアカウントを開設したり、撮影機材を揃えたりしなければなりません。
このように提供しようと考えているコンテンツから逆算して、必要な準備事項を割り出しましょう。
目標の設定
コンテンツマーケティングの目的は基本的に以下に大別されます。
- 見込み顧客の獲得
- 見込み顧客の育成
- 問い合わせなどの具体的な行動の喚起
- 既存顧客のリピート促進
最終的に上記の目的全てを果たすことができますが、運用開始からまだ日が浅い段階では、リソースやノウハウの兼ね合いで、全てを同時に目指すことは難しいでしょう。
そのため、まずは上記の目標の中でも特に重要と考えるものを選び、その目標に向けてコンテンツを準備していくことが重要です。
運用フロー・ルールの設定
コンテンツマーケティングの運用を開始した後は、コンテンツ企画や制作、投稿や効果検証などの様々な業務が発生します。
事前にこれらの業務をフロー化し、実施タイミングや手順を定めておくことで、スムーズな運用を実現可能です。
もしコンテンツ制作を外部委託するつもりなのであれば、受発注や制作における規定・ルールも策定しておき、運用が始まった際にすぐ共有できるようにしておきましょう。
ペルソナの策定
ペルソナとはターゲット顧客の具体的な人物像のことを指し、年齢や性別といった基本的な情報に加え、趣味や価値観、休日の過ごし方などの要素を加えて具体化します。
ペルソナを策定することで、ターゲット顧客の考え方や行動を予測しやすくなり、コンテンツの精度も高まるため、必ず策定しましょう。
ペルソナの作り方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご確認ください。
カスタマージャーニーの策定
カスタマージャーニーとは、ペルソナが認知から購買までに至るプロセスで感じる悩みやニーズ、それに応じて提供すべき情報やコンテンツをまとめたものです。
カスタマージャーニーを策定することで、顧客の行動やニーズを俯瞰でき、提供すべきコンテンツ同士の繋がりや購買までの導線を意識しながら、コンテンツ企画を検討できます。
コンテンツ企画
あらかじめ策定しておいたペルソナとカスタマージャーニーをベースとして、「どの種類のコンテンツを制作するのか、どういった内容とするのか」といった点を具体化していきましょう。
また企画したコンテンツを効果検証するためのKPI(重要業績評価指標)や、コンテンツの配信スケジュールなども併せて設定しておくこともポイントになります。
なおコンテンツにおけるKPIとしては、閲覧数や滞在時間、ダウンロード数など様々な指標が挙げられますが、コンテンツによって最適なものが異なる点は注意してください。
コンテンツ制作
コンテンツ制作については自分だけで無理に完結しようとせず、必要に応じてクラウドソーシングなどの外部サービスを利用しましょう。
外部委託する場合は、コンテンツの企画内容や制作時のルールなどを共有した上で、納品されたコンテンツもしっかりとチェックしなければなりません。
チェックの結果、修正してほしい点があれば、遠慮せずにその旨を伝えることもポイントです。
修正依頼を行う際は曖昧な指示ではなく、どこをどのように修正してほしいのか、具体的に指示する必要がある点も覚えておきましょう。
コンテンツ配信と効果検証
事前に構築しておいたオウンドメディアに投稿したり、SNSやメルマガなどで配信しましょう。
また一度投稿したコンテンツはそのまま放置せずに、企画時に設定しておいたKPIを基に、定期的な効果検証を実施しなければなりません。
コンテンツの改善と追加
効果検証の結果、狙った検索キーワードでの流入が得られなかったり、すぐにコンテンツページから離脱されていたりするのであれば、改善しなければなりません。
またカスタマージャーニーを参考にしつつ、追加コンテンツの企画制作も同時並行で行い、コンテンツの拡充に取り組むことになるでしょう。
コンテンツ企画におけるネタ探しのコツ
ここでコンテンツ企画におけるネタ探しのコツについてご紹介します。
競合コンテンツを分析する
競合製品やサービスを提供している事業者が、どういったコンテンツを配信しているのかを分析することで、コンテンツ企画の方向性や顧客ニーズを分析できます。
例えばビジネスブログの場合、競合記事が提供しているブログ記事の構成や内容を分析することで、顧客の求めている情報などを把握できるでしょう。
QAサイトで顧客ニーズを探る
Yahoo!知恵袋やOKWAVEなどのQAサイトを活用し、インターネットを利用するユーザーがどういった悩みや疑問を抱いているのかをチェックしましょう。
これらのQAサイトには、ユーザーの生の声が記録されており、時に競合コンテンツを分析する以上に深い洞察を得られます。
QAサイト内で自身の提供している製品・サービスに関連した言葉で検索をかけ、ユーザーがどういった悩みや意見を持っているのかを探りましょう。
既存顧客に聞く
既存顧客に対して、現在知りたい情報や購買までに知りたかった情報などを直接聞き出すことで、企画のネタに繋げられます。
既存顧客の実体験を基にした意見であるため、見込み顧客にとっても価値のある企画になりやすいでしょう。
ただしある程度関係性を構築できている顧客でなければ、有益な情報を得られない場合があるため、その点は留意しなければなりません。
コンテンツマーケティングの効果を高めるポイント
次にコンテンツマーケティングにおける効果を高めるポイントを確認しましょう。
ターゲット顧客を深く理解する
どういったコンテンツを提供すべきかは、ターゲットとする顧客によって異なります。
そのためコンテンツマーケティングにおいては、ターゲット顧客を明確にした上で、深く分析し、徹底的に理解する必要があります。
ペルソナやカスタマージャーニーの策定を通じて、ターゲット顧客を深く理解できれば、提供すべきコンテンツの方向性や内容の精度が高まるでしょう。
顧客へのお役立ちに比重を置く
コンテンツマーケティングに取り組む際に、提供している製品・サービスの売り込みを重視すると、集客などの効果を得られるどころか、顧客との関係性が悪化してしまう恐れがあります。
そのため、あくまで顧客へのお役立ちに比重を置いてコンテンツを提供し、良好な関係性を構築することを重視すべきと言えるでしょう。
顧客との良好な関係を構築できれば、自ずと購買や問い合わせへと繋げることができるのです。
良質なコンテンツを作る
提供するコンテンツの質は、コンテンツマーケティングの成否を左右します。
仮に顧客ニーズを押えたコンテンツでも、内容の質が低ければ、顧客の購買意欲は促進できないのです。
そのためコンテンツマーケティングでは、量よりも質にこだわってコンテンツを制作することが肝になるでしょう。
小さく始める
いきなり多数のコンテンツ制作や配信に取り組むと、運用が頓挫しやすくなります。
特に個人事業主やフリーランスの場合は、企業よりもリソースが限られているため、その傾向が顕著になってしまうでしょう。
そのため最初はビジネスブログやSNSなど、取り組みやすいものから小さく始め、状況などに応じて徐々に運用を拡大していくことがポイントになるのです。
拡散経路を確保する
コンテンツマーケティングで扱うコンテンツの多くは即効性に乏しいという難点があります。
そのためコンテンツ自体の集客効果が現れだすまでは、SEOやSNS、Web広告などによって拡散経路を確保することが重要です。
企画時にあらかじめコンテンツの拡散方法なども検討しておくことで、効率的にコンテンツの提供や拡散に取り組めるでしょう。
生成AIを上手く活用する
コンテンツを制作するには相応の工数や時間がかかります。
しかし個人事業主やフリーランスの方の場合、サービス提供の傍らで取り組むことになるため、そこまで多くの時間を割くことは難しいでしょう。
その点、ChatGPTなどの生成AIを活用することで、効率的にコンテンツ制作に取り組めます。
ChatGPTについては、後ほど改めてご紹介します。
コンテンツマーケティングに役立つツール
最後にコンテンツマーケティングに役立つツールを確認しておきましょう。
Googleアナリティクス
GoogleアナリティクスはGoogleの提供するアクセス解析ツールであり、Webサイトの流入キーワードや滞在時間、離脱ページなどの指標を測定できます。
基本的な機能は無料で活用できるため、コンテンツマーケティングに取り組む際は、導入しておきましょう。
Googleサーチコンソール
GoogleサーチコンソールもGoogleが提供するツールであり、流入キーワードや検索キーワードごとの表示順位など、検索流入に関する情報を簡単に把握できます。
Googleアナリティクスと同じく無料で使える上、コンテンツを検索エンジンにインデックスするように促す機能もあるため、積極的に活用することをおすすめします。
※インデックス:検索エンジンのデータベースに格納されること。インデックスされてはじめて検索結果に表示されるようになる。
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Google広告アカウントを開設することで利用できるツールであり、検索キーワードにおける検索ボリュームを把握できます。
ブログ記事でSEOに取り組む際に、Googleキーワードプランナーを活用することで、どの検索キーワードについて対策すべきかを参考にできるでしょう。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは、特定の検索キーワードにおける関連ワードや共起語、競合記事の見出しなどを自動抽出できるキーワード分析ツールです。
キーワードプランナーと併用することで、コンテンツ内に含めるべきキーワードをより網羅的に把握できるでしょう。
会員登録しなくても利用できますが、回数制限などがあるため、利用頻度などを踏まえつつ、必要に応じて会員登録しておくことをおすすめします。
ChatGPT
ChatGPTとは生成AIの一種であり、記事の構成案のたたきを作ってもらうといった活用方法があります。
例えばChatGPTに対して「マーケティングについて5000文字程度の記事を書きたい。その記事の見出しを作成してください。見出しの数は5つ以上で〜」といった形で指示を出すことで、自動的に構成案を生成できます。
ChatGPTが生成した構成案を基に、要素を追加したり修正を加えたりすることで、ゼロから作成するよりも効率的に作成可能です。
他にも記事の誤字脱字を検出してもらったり、作成した構成にフィードバックを貰ったりできるため、ビジネスブログを主軸にする場合はぜひ活用しましょう。
まとめ
今回はコンテンツマーケティングの始め方について、主なコンテンツやポイントなどを踏まえつつ解説しました。
インターネットやSNSが発達した現代において、広告や営業担当者によるアプローチは効果を発揮しづらく、いかに顧客が求める情報ニーズに応えるかが重要になります。
コンテンツマーケティングは、顧客の情報ニーズに応える上で有効な手法であり、様々な形態のコンテンツを通じて、顧客にとって価値のある情報を提供可能です。
ぜひこの記事を参考に、コンテンツマーケティングの取り組みを始めていただければ幸いです。